「ステラマギカさん、ありがとう……あれ? どこいったんだろう?」
感謝の言葉を聞く余裕もなく、ステラマギカはその場を離れ建物の間の物陰に隠れていた。
「さて、変身を解かなきゃ。……今日もありがとう。いつもの私に戻して。」
彼女はワンドを右手に握ったまま、変身したときと同じように胸のブローチの上に両手を当てて静かに呟く。
右手に握ったワンドが光の塊となり、彼女は握っていた右手を静かに開く。光の塊は球状になりブローチの中に収まっていく。
すると、彼女の身を包んでいたドレスがラバー状になってほどけ均一化し、まるで一枚布を身体にまとっているような姿になっていく。
(↓これの2枚めのイメージ)
ピンクの布に包まれたまま、ツインテールを結んでいたリボンも消え、金色の輝きにあふれていた髪は外から内へと艶やかな黒髪に戻っていく。
ステラマギカの大人びた肢体と表情は本来の年齢としても小柄といえるほどの小さな姿になっていき、顔にも中学生の幼いあどけなさが戻っていく。
身体が縮んだことで身長より僅かに長くなった髪が、ここから宙に舞いはじめショートボブに戻っていく。
ラバー製と見紛うような一枚布は、ここで形を変えはじめ、この世ならざるピンクのラバー状の生地がありふれた化繊の生地に変質していき、変身前の彼女が身に着けていた夏セーラー服とスカートとしてかたどられていく。
そして、ステラマギカの力の源である胸のブローチが光の粒となり、彼女本来のまだふくらみかけの小さな胸の谷間の中にしまい込まれていく。
今、ここにはステラマギカはいない。
「そう、今の私は星城美枝子(せいじょうみえこ)。」
※この文章は、pixivの拙文を転載したものです。
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